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バナナ熟成し/ Banana Ripener|ポール・スプーナー/マット・スミス
バナナが食べごろになることをただひたすら待ち続けるという男の物語です。スプーナー独特のアイロニーを駆使した哲学が、見事に表現された作品です。雑誌を眺める男がクロッシュ(料理にかぶせるフタのようなもの)を持ち上げると中のバナナの色が緑色から黄色に変わります。日本でも江戸時代に品玉人形とか手品人形と呼ばれるからくり人形でカラクリの機構はほぼ同じです。この作品を作るキカッケとなったのはラジオから聞こえてくるニュースでした。ポール・スプーナーはある日、仕事をしながらラジオを聞いていましたが、そこでは南の国のバナナ農園が話題になっていました。バナナを出荷する際には、消費国までの運搬時間を計算してバナナが青いうちに収穫をします。つまり消費者が熟成し黄色くなった食べ頃のバナナとして届けるまでの時間を逆算しているわけです。そのころ合いを見計らう熟練した勘を持つ人物を本作品の主人公=バナナ熟成師として考えついたのだとか。
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