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執筆者の写真Hal Furuta

オートマタの作り方 磁石&鞴(ふいご)を使ったマット・スミス氏の「ロコモーション」

更新日:2020年10月22日


この「ロコモーション」と名付けられたマット・スミス氏の作品は近年では、その着想、仕掛け、デザインすべての面でとても優れたオートマタではないでしょうか。 良いオートマタ作品は、まずそのたたずまいに「おっ⁉」と人を引き付けるものがあります。更にハンドルを回し動かしてみると、仕掛けの深さに驚きを通り越して感銘すら覚えるということになります。 このマット氏の「ロコモーション」はまさにそれに該当すると言っても過言ではないでしょう。では、仕掛けについて詳しく見てみましょう。 少年は左手に赤、右手に緑の旗を持っています。その旗を交互に上げ下げしながら、足元を走る列車の動きに合わせ、顔の向きを変えます。 少年が、緑色の旗を、赤い旗よりも高く掲げられている間、列車はクルクルと回ります。逆に赤い旗が高くなると列車は停車します。顔のうごきも止まります。そしてまた緑色の旗が高く掲げられると、列車はふたたび動き出すのですが、このときなんと、ピッ、ピッーとホイッスル音が鳴り響くという、誠に心憎い演出も用意されているのですから驚きです。 どのような仕掛けでこれだけの動きを実現しているのでしょうか?それを今度はご説明します。ホイッスルの音は、台座下に仕組まれた鞴(ふいご)によって鳴らされます。鞴は周囲に配した歯車の動きによって上下運動を得て圧縮空気を作り出し、時が来ればそれを吐き出すことで音を奏でるというわけです。

更に、列車の動きは正円形のレールを模した下に仕込まれた強力磁石によってもたらされます。わたしのような凡人が仮にこの作品の動きを作るとすれば(作れませんが)、レールに列車を乗せたままレールごと回転する方法を選択したでしょう。 それをマット・スミス氏は列車単体で動く、より本物に近い動きを求め、その結果、磁石を使った仕掛けを思いついたわけですが、これは言うは易し行うは難しの見本のようなものだと言えるでしょう。彼ならではの技術だと言えますね。 ここにコースから外した列車を撮影した画像をアップしてみました。車両の下には磁石からなる輪が仕込まれ、台座の磁石の動きによって制御されるというわけです。

少年が手に持った左右の旗を交互に上下させ、足元には一両づつ丁寧に作られた列車が正回転(時計回り)で動きまわります。それを少年の顔(頭)が追いかけるように左右に動き、且つ緑の旗が上がる最初の瞬間、ホイッスル音を発するというこの凝った構成を思いついたアイデアには脱帽です。

MOLEN

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