キース・ニューステッドというと歯車というよりリンクをうまく使うオートマタ作家だと思われる方は”オートマタの”通(ツウ)”だと言えますが、本日ご紹介するこの「ワンちゃんスキーに行く」という作品ですが、クランクスライダーを主たる機構として用いています。 クランクスラダーは個人的な感想としてペーパーからくりの世界で多様される機構のひとつという印象があります。しかし木製オートマタにも使われることもあります。ご覧いただいている画像は下の機構部分がうまく撮影されておらず少しわかりにくいのですが、もう一つの図で示したように回転運動を上下(斜めに角度をつけて上下)運動に変えるものです。 その運動はワンちゃんの身体全体を大きく持ち上げ、やがて元の位置に戻します。それだけの運動でしかないのですが、キース・ニューステッドは身体に接続する犬の顔、スキーをはいた両足、ストックを持った両手、それに尾までを動かすことに成功しています。 その背景で、手足・頭等各々の部品の自重を利用し、且つ糸をうまく使うことで伸び縮みをコントロールしていることがわかります。単に部品それぞれが、ぶらぶらするだけとも言えるのですが、どうしてどうして、リアルな動きを実現しています。 それは、作品を作る設計の段階で、その動きをしっかりイメージして計算し、糸の長さと張り具合を調整するために、それを結ぶ位置を何度も実地で試していると想像されます。オートマタづくりに挑戦しようと考えれている皆さまに、まずはこのクランクスライダーを使ったこのような作品をお手本にされることをお勧めしたいと思います。
MOLEN