先月迄行われていたパラミタミュージアム「英国自動人形展」で、作品に貼られている”添書き”について次のようなご教示を得た。 作品の動きや図面を克明に見ることで、かつ大胆な仮説も踏まえてという前提で言うと
「骸骨が見ているのは新しい食器棚や洋服ダンスの設計図である。
これが(屋敷に)持ち込まれてしまうと、骸骨が生前に秘密を隠しておいた古い家具が捨てられてしまうことを恐れているのだ。
どうしてかと言えば、隠しておいた”あるもの”が、誰かに発見されることで巻き起こる騒動を期待していたからで、そのため新しい家具のことが気にかかるのである」
”添書き”の文章量が少ないため憶測を加えなければ意味が通じない点が多々あり「こうではないか?」ということを推理しながら説明=キャプションを書かねばならない。
原文(英語)を読まれる来館者の受け止め方がそれぞれなので、どうしても異論が出る場合があるし、そうでないこともある。(後者ほとんどだが)
もう一つは、1点だけ作品を眺めて解釈しようとすると無理が生じるケースが大半で、多くの作品を眺め動きをみて、添書きを読むことでようやく作家の精神世界のようなものがぼんやりと理解できる。
人によっては、展覧会を見終えて自宅に戻られてから「アッそうだ、あの作品はこういうことを意味していたのだ」とお気づきになる場合も少なくないようだ。
こうしたことも手伝ってか、展覧会に何度も足を運ばれる方も多く見受けられるのが「英国自動人形展」の特徴となっている。もちろん添書きがそうさせているのではなく、作品全般の魅力と機構の不可思議さが主であることを書き添えておこう。